「蟻の兵隊」
2006-12-11


こういう話に接する時、想像力が大切なのだと思う。
奥村さんが中国に渡り、かつて皆と闘った場所を去る時に、「さよなら」「また来るから」と言った時の気持ちは、映画を観ているだけでも胸に迫るものがある。だがきっと、奥村さんの心の内は私たちが感じているより遥かに深い痛みを抱えたものだと思う。
それは、私たちは想像するしかないのだ。

様々なことを理由にして、我々は軍を持つべきだ、「普通の国」として闘う権利を持つべきだ、という声は多い。
だが、その議論の中で、実際にその時、自分が、家族が、恋人が友人が、戦場で銃を取るのだ、人を殺し殺されるのだ、という事を分かって言っている人は(私も含めて)どれだけいるのだろうか、と思う。

何事にも物事にはメリットとデメリットがある。
戦争をするに際してのメリットは言葉として耳に入りやすい。「国」を守れ、国境を守れ、「正義」を守れ……。
だが、そのデメリットは、それを体験した人にしか本当には分からない。そしてそれを体験した人は今、急速にいなくなっている。
体験していない私たちがそれを「知る」ためには、単に話を聞くだけでなく、それが自分にとってどういうことなのか、を想像しなければ分からない。
正しくメリットとデメリットを考えるためにも、私たちにはそのことを知る義務と、想像力を働かせる必要があるのだと思う。
[映画]

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