北陸新幹線 敦賀延伸の愚
2011-12-31


何やら訳の分からぬままに、北陸新幹線の金沢〓敦賀間の延伸が決まってしまったようです。

福井県の試算によれば(12月28日付の朝日新聞記事)、福井県内での新幹線建設費用は5300億円で、内、福井県や各市の負担分は800億〜1000億円。これにより福井〜東京間にかかる時間は3時間半から2時間40分に短くなるそうです。

しかし、2時間40分に短くなると言っても、
東京〜金沢間の新幹線延伸は既に決まっているのだから、今回の延伸による福井〓東京間の短縮時間は、金沢〜福井間の短縮分のみです。現在の特急サンダーバードで福井〜金沢間は45分〓50分。これが新幹線に変わっても、短くなる時間はせいぜい10分〓20分というところでしょう。

金沢〜福井間に新幹線を延ばす費用を敦賀延伸までの費用の単純に約半分と考えると2650億円。その内、福井県・各市の負担分が400億円〜500億円。つまりは、新幹線を福井まで延ばしても、これだけの費用をかけ、福井県・各市がを負担しながら、そのメリット、東京までの短縮時間は10分〓20分だけ。
費用対効果を考えた時、これが妥当な案と言えるでしょうか?

しかも、
北陸新幹線の敦賀までの延伸開業は2025年を予定しているようですが、この2年後、2027年には、リニア新幹線が東京〜名古屋間で開業します。
リニア新幹線で東京〜大阪間は1時間余りとされているから、東京〜名古屋間は40分くらいでしょう。福井から名古屋までは特急しらさぎで2時間10分余。米原でしらさぎから新幹線に乗換えると1時間45分ほどで福井から名古屋に着いてしまいます。そこからリニア新幹線に乗れば、福井〜東京間でかかる時間は2時間20分〓3時間弱。敦賀〜東京間なら更に早くなるでしょう。
乗換えの必要はありますが、リニア新幹線を使えばわざわざ北陸新幹線を延伸せずとも、もっと早く東京に着いてしまうことになります。
開業の2年後には、福井発着の北陸新幹線は既に色褪せ、無用の長物となってしまうのです。

東日本大震災を機に、交通ルートの二重化が必要だという意見もあるようです。
だがそれならば、もっと全体的に、航空ルートなども含めて検討した結果なのでしょうか?
もしその上で北陸新幹線が必要だというなら、これは完全な国策の筈です。何故、地元自治体の我々が負担を背負わねばならないのでしょう?
新幹線開業後の在来線も、従来通りJRが運営するか、国による運営とされるべきです。

新幹線の延伸には地元自治体の同意が必要とされています。
福井県内の各自治体が同意したのであれば、新幹線開業後の財政赤字、第三セクタとなった在来線の赤字は、今回同意した各自治体の首長、議会の政治家が負担しなければなりません。
[社会・時事]

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